運営・経営

国内参入当初は多くの外資系のシネマコンプレックスが存在していたが、大半は撤退した。現在も外資系との資本関連がある興行会社は、ワーナー・ブラザース・インターナショナル・シネマズが資本参加しているワーナー・マイカルのみです。現在は完全に国内各社が主役となる。
最近では、札幌シネマフロンティア(TOHOシネマズ、松竹、ティ・ジョイの共同経営)や、大阪の梅田ブルク7、なんばパークスシネマ(松竹、ティ・ジョイの共同経営)等、かつては競合だった国内大手映画会社系列による、呉越同舟型の共同経営も増えてきた。
一方で横浜桜木町で計画されていた共同運営の劇場開発からTOHOシネマズが撤退する事例も見られる等、完全に足並みがそろっているわけではない。

前述のように観客数が横ばいでありながら各社の出店が続いていること、映画ソフトのレンタルやテレビでの放映までの期間が近年では短くなっている事、インターネットによるオンデマンド配信も増えている事など、シネマコンプレックスの経営は年々厳しくなってきている。
また、後述する競合他社との差別化のための設備投資の結果、1998年頃は平均座席占有率が10.2%で経営が成り立っていたものが、2004年には14.7%まで上昇してきている。
結果的に、興行収入からの営業利益は4.3%しか得られていない。従来館を含めると既に3000スクリーンを突破しているが、3000スクリーンの経営を成立させるには1億8千万人の映画人口が必要との試算もある。
今後は、入場者の安定確保と共に飲食物など売店収入の増加などが鍵となると見られている。

サービス・設備

近年はシネマコンプレックス間での差別化を図るため、サービスや設備の個性化が進んでいる。
コンテンツの差別化という点では、チェーンによる独占上映が行われ始めている。2007年4月9日にユナイテッド・シネマと東急レクリエーションが独自の番組編成を目的に提携したことを発表し、『アドレナリン』など複数の作品が2社の劇場を中心に上映された。
2007年12月20日にはティ・ジョイ、東急レクリエーション、ユナイテッド・シネマ、ワーナー・マイカル4社に拡大した「オープン・コラボレーション」という提携を発表し、『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』などが4社で独占上映されることになった。
顧客サービス面の差別化ではTOHOシネマズの「ママズ クラブ シアター」などが挙げられる。
小さな子供を持つ親を優先にした上映回を設定し、周りの観客に気兼ねなく鑑賞できるようにした。
また、設備のデジタル化により、上映コンテンツ自体の変化も現れている。DLPシネマをはじめとするデジタルシネマの普及に伴い、映画以外のコンテンツを上映することも増えてきた。TOHOシネマズやティ・ジョイではパブリックビューイングや舞台演劇の上映が行われている。
REAL Dなどのデジタル3D映画の上映も増えてきた。ワーナー・マイカルやティ・ジョイを中心に設備の導入が進んでいる。

2008年10月25日には全国上映としては日本初のフル3D実写映画『センター・オブ・ジ・アース』が公開された。
サービス面の向上を図った結果、各地のシネマコンプレックスで導入されたサービスもある。例としてインターネット予約は大手各社が導入した。
ただし、中小のシネマコンプレックスではまだ導入していないところもある。また、ポイントサービスはTOHOシネマズのシネマイレージをはじめ、各社とも導入を行っている。
一般にポイントサービスはヘビーユーザー向けの物だが、ワーナー・マイカルは「ティーポイント」と提携し、劇場であまり見ない層の集客を図っていた。しかし、2009年6月27日にこのサービスは終了している。

座席幅が広かったりサイドテーブルが付いていたりする付加価値の高い座席も導入するところも増えた。TOHOシネマズでは「プレミアスクリーン」として、1スクリーンを全て高付加価値のシートとしているほか、新宿ピカデリーではプライベートルーム型で3万円の「プラチナルーム」を設置している。
他にもワーナー・マイカル・シネマズの「ゴールドクラス」、109シネマズの「エグゼクティブシート」、シネマメディアージュの「スーパープレミアシート」などが挙げられる。一方で、改装時に高付加価値のスクリーンを撤去する動きもある。

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